酪農のさとでは、2011 年度から鴨川市・南房総市に横たわる日本食生活近代化遺産『嶺 岡牧』の調査を進めてきた。これまで嶺岡牧に対する科学的調査は皆無といっても過言で 無く、先入観に基づいた憶測で語られ、事実と大きくかけ離れた間違った姿が広められて きている。しかし嶺岡牧は、食生活面における日本近代化遺産の要ともいえる極めて重要 な歴史文化遺産であり、その意義を正しく伝えることが社会的に求められることから、酪 農のさとでは嶺岡牧の実態に科学的調査によって迫るとともに、調査成果の公表を馳駆時 行ってきた。今回の特別展では、千葉県嶺岡乳牛研究所が所蔵している歴史資料の調査か ら、明治初期から昭和前期にかけ、嶺岡牧で優良な乳牛を供給することが日本酪農の発展 となったことを評価した展示となっている。展示は、千葉県嶺岡乳牛研究所が所蔵する近 代文書及び古い写真の展示に加え、パネルで石堂家文書の一部が紹介されている。
また、特別展の内容を掘り下げる講演会が、10 月 24 日(土)午後1時 30 分~午後3時 30 分に、酪農のさと酪農資料館視聴覚室で開催される。この講演会では、日本酪農乳業史 研究会の矢澤好幸 常務理事・事務局長が『日本における牛乳販売のはじめて』と題し、明 治時代から大正時代に飲用のための搾乳業をリードした横浜・東京の酪農のはじめてを講 演。一方、「安房地域に残された最大の歴史的な宝である嶺岡牧を知り、嶺岡牧を活かして 安房酪農と安房地域の再生を!」と語る宮城大学の日暮晃一 講師が『種畜場時代の嶺岡牧』と題した講演で、嶺岡牧及び安房酪農は都市酪農とは異なる独特な歴史を歩んできたことを示す。 |