ミニ企画展 明治150年記念事業 日本の食生活近代化の拠点:嶺岡牧近代文書にみる 日本で初めての地域酪農会社

 

 千葉県酪農のさと酪農資料館で、ミニ企画展「嶺岡西一牧の野付村に残された文書に見る日本で初めての地域畜産株式会社」が5月20日に始まった。今回の展示は、千葉県が明治150記念事業「近代農林水産業のあけぼの」のひとつ。

 江戸幕府直轄4牧の一つである嶺岡牧は、八代将軍徳川吉宗が白牛を放牧して酪農を始めた「近代酪農発祥之地」。明治時代に国民の体力・体格を欧米並みに高めることが国の課題となり、肉とともに牛乳・乳製品の喫食を中心に食生活の近代化を図った。江戸時代から蓄積された酪農のノウハウを持っていた嶺岡牧周辺地域は、嶺岡牧社、次いで嶺岡畜産株式会社を設立し、日本に酪農を広める拠点となった。

 嶺岡牧社、嶺岡畜産株式会社は、地域ぐるみで畜産会社を設立したため、地域に多くの文書が残されている。今回のミニ企画展では、嶺岡牧の西南端にあたる嶺岡西一牧の野付村である平群山田村(山田区)と、平群中村の加藤牧士家に残された文書により、嶺岡牧社、嶺岡畜産会社の設立から解散までの動きがわかる展示となっている。

 嶺岡畜産株式会社では1000頭を超える乳牛を飼養し、乳牛の繁殖・育成を行っており、現在でも数少ない大規模経営が明治時代に行われていた。しかも、地域の農業を担う仕組として現在促進している集落営農を遙かに上回る地域営農組織が、明治時代に村で議論し、村民が分担出資してつくっている。また、地域営農組織も、村落共同体の仕組みで無く、近代的な株式会社として設立している。このように、現在であっても先進的な酪農経営が、明治時代に嶺岡牧で展開していたことを、野付村に残された近代文書の展示を通して知ることができる。

 今回のミニ企画展は10月8日まで。開館9:30~16:30(月曜休館)。入館無料。問合せは、千葉県酪農のさとTel 0470-46-8182。

 
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