明治150年記念事業「近代農林水産のあけぼの」
嶺岡牧が生んだ食文化 チッコカタメターノ料理教室

 嶺岡牧が「日本酪農発祥之地」であったことが、明治時代の煉乳、大正~昭和前期の粉ミルク、昭和後期の飲用乳生産基地に繋がり、「みな牛を飼い、乳を搾っている」といわれた安房酪農地帯が形成された。これにより、昭和期を通して加工原料乳を生産する北海道に次ぎ、千葉県が生乳生産量日本第2位の座を占め続けた。この酪農経営で必ず出る初乳は色や成分などの問題で販売できないが、捨てるのは勿体ないと固めて食べた食物がチッコカタメターノ(乳っこ固めたの)。

 各地の酪農地域でも、初乳を固めた「牛乳豆腐」が食べられている。だが、チッコカタメターノ食文化は、牛乳の固め方が多様であること、料理法が200以上と多様なこと、そして嶺岡地域の住民の大半が食べていたという喫食者の広汎性の点で、牛乳豆腐食文化とは違った独特な食文化であることが、日暮晃一著(2016)「チッコカタメターノ料理」に指摘されている。

 チッコカタメターノ食は、嶺岡牧とその流れを汲む安房酪農が育んだ食文化だが、安房酪農の衰微と歩をいつにして急速に忘れられてきている。そこで、千葉県酪農のさとでは、チッコカタメターノ食文化の継承を目指して、2016年からチッコカタメターノ料理教室を開催している。今年のチッコカタメターノ料理教室は、10月27日(土)10時~午後1時に南房総市丸山公民館調理室で行う。これまでの2回は「獣の臭い」と嫌われた牛乳の風味を消す伝統料理を中心としたが、今回は最近作られている牛乳の風味を活かしたチッコカタメターノ料理のうち、カプレーゼ、カルボラーナ、ラタトゥイユ、金目鯛ポワレなど、地中海料理風のチッコカタメターノ料理を5品作って膳揃えする。この料理教室では、「美味しく楽しく食べて人と地域を元気に!」を掲げて活動をしているプロジェクト鴨川味の方舟のメンバーがファシリテータとなり丁寧に料理方法を示すので、料理になれていない方でも問題無く作ることが出来る。

 
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