嶺岡牧の牧士家に伝承 食器が語る嶺岡牧の賑わい

南房総市 千葉県酪農のさと

 

 「日本酪農発祥之地」である嶺岡牧跡に建つ千葉県酪農のさとで、5月25日からミニ企画展「食器が語る嶺岡牧の賑わい」を開催している。嶺岡牧は世界遺産級といわれている日本近代化遺産。しかし、調査研究が進んでおらず、大きさや形など基礎的なことさえ分かっていなかった。そこで、千葉県酪農のさとでは、2011年から嶺岡牧の実態を明らかにするため総合調査を開始し、調査結果をミニ企画展や講演会などで随時速報してきた。

 これまでの嶺岡牧調査で、嶺岡牧が地域経済発展の起点となっていたことが分かってきた。現地で嶺岡牧を管理していた牧士(もくし)家は、幕府から見回りに来た役人の持てなしなど人寄せが多かった。この牧士家に残された饗膳の食器を展示している。通饗膳に用いられた食器の展示は2015年も行っているが、その時は漆器が中心で磁器は殆ど展示されなかった。今回は、元禄時代に作られた古伊万里の大皿など、江戸時代から明治時代の磁器を23点展示している。

 嶺岡牧跡を訪ねると、貧乏徳利の破片や湯飲み茶碗などが木戸跡脇などに転がっており、牧内で酒盛りが行われていたことを暗示している。嶺岡牧は地域の働き場であり、賑わっていたことを食器を通して垣間見ることができる。

 
HOME BACK
© Ecology Archiscape