嶺岡牧が育んだ食文化 チッコカタメターノ料理教室

爽やかな香りが広がる柚子チッコカタメターノ

南房総市 千葉県酪農のさと

 昭和期いっぱい飲用乳生産では日本一であった嶺岡牧周辺地域に特徴的な食物がチッコカタメターノ。これは、酪農家が販売できない初乳を捨てるのは勿体ないと、温めて固め食べ物にしたもの。安房地域では牛乳を「乳っ子」と呼び、それを固めた物なので「乳っこ固め~の」とか「乳っこ固めたんが」などと呼ばれている。嶺岡周辺地域ではチッコカタメターノは誰でも知っていた。チッコカタメターノは、「日本酪農発祥之地」である嶺岡牧が育んだ独特な食文化なのである。

 しかし、嶺岡地域における乳牛飼養頭数が昭和55年の20,681頭をピークに急速に減り平成27年には4,835頭と四分の一に、また最も多かった時は5,285戸あった酪農家が平成27年には131戸と7%足らずになったことから、30歳代の人でチッコカタメターノを知っている人はごく稀となった。そこで、千葉県酪農のさとでは、安房酪農及びその源流である嶺岡牧に関わる個性としてチッコカタメターノ食文化に注目し、地域個性に根ざした地域再生をめざして平成28年から「チッコカタメターノ料理教室」を行ってきた。

 今年のチッコカタメターノ料理教室は、牛乳を市販の酢で固めずに、柚子を絞って固めた柚子チッコカタメターノに焦点をあてた。柚子チッコカタメターノは、柚子の香りがほんのりとし、柔らかい爽やかさが口に広がる。柚子は古くから地元の農家が作っており、多様な固め方があるチッコカタメターノ食文化の特徴を端的に示している。

 チッコカタメターノ料理教室は、11月9日(土)10時~午後1時に、三芳農村環境改善センター調理実習室で行う。この料理教室では、地元産の野菜や魚を用い、柚子チッコカタメターノ玉子丼、三つ葉と柚子チッコカタメターノの味噌汁、柿と柚子チッコカタメターノのカプレーゼ、柚子チッコカタメターノと野菜の炒め煮、鰺の酢締め、を料理する。

 
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