2017(平成29)年度 年賀寄附金

飯舘村避難解除に伴う健康支援・紐帯維持支援プロジェクト

 福島県飯舘村は、放射能汚染により全村避難が行われていたが、2017年3月末に大部分の地域(20行政区中、19行政区)が避難解除されました。

 避難解除後の汚染レベルを安全と感じて帰村する人、あるいは汚染に危険を感じつつも諸般の事情で帰村せざるを得ない人が出てくる一方で、汚染を危険と感じて村外に残る人も多い状況です。

 そのため、弊会では日本郵便株式会社様からの支援を受けて、帰村者に対する支援事業と村外での生活を続ける人に対する支援事業を実施するに至りました。

帰村者に対する支援事業

帰村する人にとっては汚染レベルが未だ高い村での暮らしの中で極力被ばくを抑え、健康に的に暮らすための環境作り、情報提供が不可欠であると考えています。

特に村での避難前生活では市場経済に依存するだけでなく、自給経済をベースにした生活をしてきたため、弊会では避難生活期間中も土壌汚染検査をした上で、汚染度に応じた対策を施し、また紐帯維持のために共同農園の開設を支援してきました。しかし、除染後も放射能の移動が未だ続いていると考えられる村での生活において、安全な食材を獲得するためには、綿密な土壌検査とそれに基づく土壌改良(場合によっては客土)、場合によってはハウスを組み合わせるなどの生産環境づくりが必要であると考えます。その際、集落のコミュニティ再生もテーマにしていくことが肝要であると考えています。

○安全な自給的な農的生活のためのモデル共同農園の整備

○放射能影響に配慮した健康的な暮らしのための知識を広める機会提供

村外での生活を続ける人に対する支援事業

村外での生活を続ける人は広域に分散して暮らすことになるため、村で築かれてきた紐帯の脆弱化、希薄化が加速することになると考えられます。こうした村外生活者には若者が多いのですが、当該世代は村と村民が協働で設置、運営してきた避難先自治会への加入率が低く、既述のような問題が特に顕著です。

そのため、若者世代も参画できる新たなコミュニティの受け皿づくりが、喫緊の課題であると考えています。

○広範な世代、特に若い世代の参加しやすい村外コミュニティの受け皿づくり

○広範な村民から声を拾い、瓦版等にまとめ、村民向けに発信

○村外で生活を続ける人が参加しやすい福島市内での交流イベントの開催

東京における事業報告会・ミニシンポジウム等の開催

本事業を通じて得られた成果、事業に携わっていただいた原発事故被災地の村民の声を広く知っていただくため、年度末には東京において報告会等を開催する予定です。

・飯舘村前田行政区に、放射能汚染に配慮してもらうために弊会から提供した、集落共同自給用菜園が完成しました。
客土を行い、非除染の法面にシートも貼っています。
 
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