飯舘村等の計画的避難区域の設定にかかる緊急要望
内閣総理大臣菅直人殿
2011年4月17日

飯舘村後方支援チーム(代表・糸長浩司/日本大学生物資源科学部教授)
国際環境NGO FoE Japan(事務局長・三柴淳一)

 

 われわれは、今般の東電福島第一原発事故に伴い、放射能に高濃度に汚染された飯舘村の放射線被害 に関して、深く危惧し支援を行ってきています。飯舘村及びその周辺地域では、4月11日に計画的避難 区域に指定された後も、政府の明確な情報や指示が得られず、混乱が続いています。もとより、3月15 日の放射性物質の沈着からすでに一ヶ月以上が経過し、地区によってはかなりの累積放射線被曝を受け ています。また対象区域には放射線防護を優先すべき妊婦・乳幼児・児童もおり、将来にわたる健康不安 を抱えながら生活しています。同時に住民、農業者、商工業者は避難後の生活や就労、避難地域の復興 等、先が見えない中で強い不安を抱えています。しかるに、指定の通達があって以降、いまだ、計画的 避難に関する合意が国と村等との間でとれない状況が続いています。
 そうした状況を憂慮し、以下を日本政府に対し強く要望するものです。

1. これ以上被曝を重ねないよう、補償も含め計画内容につき速やかに村等と合意し、避難を実施。
2. 対象区域の中でも高線量地区の住民の避難、妊婦・乳幼児・児童の避難は一ヶ月の避難準備期間にこだわらず実施。また計画的避難を待たず自主避難した場合の被災証明書発行。
3. 避難先での生活補償・雇用の支援。
4. 住民への健康聞き取り調査、精神面を含む健康管理、住民各自に対する「健康手帳」(案)の発行、継続的な住民の健康管理と医療補償。
5. 作付が不可能となった農業者に対する補償。
6. 畜産農家の意向を尊重し、家畜の避難先の確保と移動の実施、あるいは全頭買い取りによる補償。
7. 商工業者に対する休廃業補償、事業所・店舗等を移転する場合の費用の補償と当座資金の融資。
8. 避難対象地域での宅地、農地(水田、畑、牧草地)、里山、河川等でのきめ細かい放射能モニタリ ングの実施と、各地区及び土地利用別での汚染度による放射能汚染除去対策及び帰還の見通しのできるだけ速やかな公表。
9. 避難が相当程度の期間に及ぶ場合、移転先において村民の生活と生業、コミュニティ機能の維持 が継続的に成り立つよう、中・長期的ビジョンに基づく場所の確保とその建設に関する財政を含む 総合的な支援。
10. 国・東電・民間企業等出資による汚染地区の復興にかかる基金の創設。

 また本要望とは別に、福島県内に放射性物質の健康・環境等に対する影響とその防除・除去を研究する民間機関設立を広く呼びかけるものである。

 
HOME BACK
© Ecology Archiscape