2011/4/22 糸長浩司(飯舘村後方支援チーム代表、日本大学教授)
飯舘村原発被害対応と暮らし・環境復興・再生プロジェクト提案 NO1
1.村民の長期的な健康リスク対応策
①国に、村民全員の「健康対策手帳」(仮称)を発行させる。
3月15日以降の村民の居住場所、期間、推計累積放射能被曝量、食事履歴、健康
状態を明記する。
②被災証明書と併せて、村民に配布する。
③国が発行しない場合は、村独自で発行する。
④今後の国、東電との健康被害補償交渉にとって重要な村民の証拠書類になる。
⑤この提案は、マスコミ等に即提案する。
2.避難先での村民の暮らし・生業・交流の構築
①子ども達は、健康リスクを少なくするためには、できるだけ放射能線量の少ない、
地域に疎開させる。福島県内に拘らす、放射能被曝量の少ない地域の学校施設を利
用して、疎開学校を、教員も一緒に行って開校する。
家族での移動が難しい場合は、学童疎開的対応も検討必要。
②避難先での落ち着いた生活と生業ができる環境を整える。
中・長期的期間の滞在もあり得ることを想定した、避難環境は、仮設の村を想定し
た総合的な避難環境を整備確保すること。その場合は、避難先での居住環境を家族
で確保できるようにする。集落単位でまとまった公営住宅等に入居出来れば良い。
それが難しい場合で分散居住になっても、村人が協働で働く場所、交流場所を数カ
所用意する。
③「飯舘村の暮らしと生業の拠点」(飯舘までいな仮設村づくり)
費用は、国と東電の出資で、福島県内に確保。既存の工場や農林地の活用もある。
村民は、村営のマイクロバスで、職場に通勤する。
かつての三宅島の全島避難で、東京の八王子市周辺に島民は分散居住したが、三宅
島農場を八王子に東京都所有の土地に確保し、島民はそこに通い、職場とコミュニ
ケーションがとれて、避難暮らしの日常性と精神的安定が確保できた。
■飯舘村共同農場の開設(一次産業)
牧場、水田、畑地、里山での農業、農産物の加工場の確保。
この場所で、分散居住地からの避難村民は通って、仕事をする。当然、月給等は
支給される。
経営は、村営か、あるいは、協働組合的、農業法人化で対応。農協等の関与
共同の集会室等も設置。
■飯舘村共同工場の開設(二次産業)
飯舘村の工場の機械、装置を移転させ、協働の仕事場とする。
経営は、個人経営、共同経営、村営等・・・・。村の商工会の関与。
共同の集会室等も設置。
■飯舘村共同市場(三次産業)
飯舘村の商業者達が共同で市場を創設。飯舘村共同農場で生産した生産物や、
加工品等を販売する。もちろん、生活日常品等も扱う。
■仮設飯舘村役場と子ども館(教育と行政)
小中学校が併設して設置できれは良いが難しい。
役場機能と、村民の子ども達の憩い、親子の交流の場として活用。
情報交換も含めて。
■避難村民の避難先に関する情報システムを確立すること。インターネット、FAX、
携帯電話を活用した、総合的な情報システムを確立すること。
3.飯舘村放射能汚染調査と修復事業の総合的継続的展開
(一日も早く帰村できるためのプロジェクト)
飯舘村の汚染状況の徹底した調査と土壌等環境修復事業を、国、東電の費用で、村民
参加での村営で実施する。放射能調査・修復事業を村の「産業」として実施する。
ただし、従事する村民は、放射能被曝リストを伴うので、徹底した教育、訓練を実施
し、専門技能者として育成する。外部からの放射能調査、修復試験に関しては、受託
業務として事業展開をする。
一日も早く、村に帰村できる環境を明確にしていく。全村でないとしても、部分的段
階的な帰村の客観的な条件を明確にするための事業を実施する。
■「飯舘村復興再生機構」(村、村民、研究者、事業者等)の設置と事業内容
費用は、東電、国、県からの資金提供+民間寄付等を充てる。
①調査・モニタリング:各地点の空中被曝量、 対策の検討
土地利用種目別(宅地・畑・田・森林・水系等)
放射性物質別ベクレル量等)
②研究(データの解析、国際的研究交流、物理学、放射線学、
土壌学、生物・生態学、ランドスケープ学、ファィトリミディエーション学、農林学、
建築・農村計画学、環境社会学、環境法学、原発災害学)
→ 総合的放射能対策研究機関の創設
③試験的修復技術適用=放射能汚染修復再生実験機構の設置
・土壌改良・汚染土の除去・放射性物質吸着などの手法・技術検討
・菜種、麻、キノコ等の植物によるファィトリミディエーション
・ゼオライト等による鉱物浄化(吸着)修復
・汚染度合いの高い土壌の集積等
・牧草地、畑地、森林、宅地等の放射能汚染浄化技術の開発と適用
・汚染水(河川、溜池、ダム)の除染技術の開発と適用
④教育と広報普及事業
・避難村民の健康相談、
精神面を含む健康管理、低量放射能被曝対策
・放射能環境教育(内外被曝問題、対処、チェルノブイリ問題、暮らし方)
・避難地での暮らしと生活への支援、個別の避難先の情報提供
・将来を含む健康被害補償への対応(法的・政治的)
・広報(行政、村民に的確な情報提示)
⑤村民の暮らしと命を守るための法制度、保障システム提案
⑥原発公害復興基金の創設(国、東電、義援金等) |